温泉の禁忌症に悪性新生物(癌)とあるが入っても大丈夫?

 ラジウム温泉に限らず、各種療養泉の禁忌症に「悪性新生物」や「悪性腫瘍」などの表記が見られることがありますが、癌患者は温泉に入ってもよいのでしょうか?

 ここでは、この問いに対する回答を、「医療相談の回答」や「癌掲示板」、「実際に入っている人」などから拾い集めてみました。 ご参考になさってください。

  • 温泉の成分は関係無く、末期で入浴する事により体力を消耗する、もしくは皮膚転移などで感染症等を引き起こしてしまう。このような可能性さえ無ければ問題はありません。
    (医療相談の回答より)
  • 禁忌症になっているのは温泉経営者側に起こりうる問題が主な原因との事でした。
    (中で容態を悪くされたり、浴槽で下血されたりすると温泉側が大変等など)
    自分の場合は、入浴に関して忌避することは無いですよ
    (腫瘍内科の主治医に相談した方の話)
  • 自分は神経系の腫瘍を切除していますが、全く気にしないで温泉にも入っています。 体力的に問題がなければ、入るのは体が楽になるのでいいですよ
    (癌を切除した方の話)
  • 癌の方に限らず、42度以上の高温浴はリスクを伴うことを理解して温泉に入りましょう。 血圧と血流の変化により、心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞・脳出血)、意識障害による溺死が起こりやすくなります。

 上記のようなあいまいな記事を長らく載せていましたが、2017年4月20日のヘルスプレスという健康・医療情報サイトに納得の記事が載っていたのでご紹介いたしますね。

 藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授、堤寛(つつみ・ゆたか)病理医の投稿です。

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 「温泉好きの病理医」である筆者は、全国各地の温泉に入るたびに、まず確認することがある。それは、脱衣所に掲示されている「一般的禁忌症」の表示である。

 禁忌症とは、温泉に入ることによって身体に悪い影響をきたす可能性がある病気のこと。その分類は、「①温泉の一般的禁忌症」「②泉質別禁忌症」「③含有成分別禁忌症」に分けられる。

 つまり「一般的禁忌症」とは、温泉に含まれる「泉質」や「含有成分」に関係なく、すべての温泉に共通した「禁忌症(温泉を利用してはいけない病気)」という意味だ。

 温泉協会から指示されているのか、都道府県の認可に必須なのかはわからないが、「湯治」を売りにするほぼすべての温泉では、一般的禁忌症として「悪性腫瘍」、つまり「がん」を指摘している。

 いわく「急性疾患(特に熱のある場合)、活動性結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性の疾患、高度の貧血、そのほか一般に病勢進行中の疾患」……。

 がん患者は温泉に入ってはいけない? 医学的根拠のない、そして現実離れしたこの記載は、いったいなぜなのだろう? 秋田県の玉川温泉のように「がん患者さんの湯治」を売りにする温泉があるのに!

 ちなみに、乳がんの女性は、美容上の問題から、温泉に行きたがらない人が少なくない。「患者さんの味方」を標榜する病理医としては、特に乳がん患者さんには、ぜひ温泉でリラックスして、心の健康も取り戻してほしい。

「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項」が32年ぶりに改訂

 「日本医事新報」4728号(2014.12)に掲載された、国際医療福祉大リハビリテーション学の前田眞治教授の記事では、温泉における「一般的禁忌症」の「根拠なき根拠」を明白にしていて、一読して、思わずため息と苦笑いが漏れた。

 いわく、明治19年の「日本鉱泉誌」(内務省衛生局編)に、以下のような記述があるそうだ。

 「肺結核、慢性肺炎の末期、壊血病や癌腫のように重症で全治を期待できない者は自宅で静養するのがよい。温泉地へ行くまで体がもたなく、却って命を縮めることになる」

 「温泉地へ行くまで体がもたなく、却って命を縮めることになる」って、交通機関や医療の未発達な時代の遺物か? やれやれ……。

 所管する環境省は、平成26年7月に公益財団法人中央温泉研究所が主催したセミナーでの前田教授による上記の発表を受けて、同月、遅まきながら改訂通知「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項(医学的解説)」を公表した。

 現行の旧通知から32年ぶりの改訂である。とてもとても、重い腰だった。浴用における一般的禁忌症は次のとおりである。

 「病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなる重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期」

 旧通知基準の誤りが明確に修正されており、その改定内容を評価したい。出血患者が禁忌なのは、本人のためでなく血液媒介性ウイルスの感染防止対策上の配慮とされている。

 がしかし、それから3年近くを経た現時点でも、この新通知が全ての現場(温泉)に行き届いているようには思えないが……。

がん治療に「温熱療法」が効く可能性は?

 ちなみに、以前、筆者は、乳がんにおける「熱ショックタンパク(HSP)70」の発現を検討したことがある。その結果、悪性度の高い乳がんには、しばしば「HSP70」の発現が見られないことが判明した。

 HSPは、熱に対する細胞の抵抗性の元となる。つまり「悪性度の高いがんは熱に弱い!」というわけだ。であるから、「温熱療法」が有効である可能性が高い。

 熱い温泉に入っても、体内の温度はそう簡単に37度を超えることはない。だとしても、少なくとも温泉は、「がん細胞が喜ぶ条件」でないことだけは確かだ。効くと信じて温泉に入る。そう前向きに捉えよう!

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いかがでしたでしょうか? 

温泉の入口の古~い貼り紙に惑わされずに、温熱療法、放射線ホルミシス効果を得るために安心して温泉にお入りください。



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